2018年12月 (一社)CiP協議会
<2018年7月活動開始以後の開催イベント>
2018年7~12月に以下の5回のイベントを開催、延べ353人が参加した。
●「世界オタク研究所スタートイベント~オタク文化研究の現状と国際研究機関の必要性~」
・開催日:7月24日(火)
・開催場所:慶應義塾大学三田キャンパス東館ホール
・内容/登壇者:
記念講演:「日本型コンテンツが切り開く日常性と多様性の物語群」
東京工業大学 情報理工学院教授:出口弘様
トークディスカッション:「オタク文化研究の現状と国際研究機関の必要性」
<トークゲスト>
東京工業大学 情報理工学院教授:出口弘様
慶應義塾大学 大学院メディアデザイン研究科教授:中村伊知哉様
ロンドン大学 アフリカ東洋研究院国際金融学部講師:三原龍太郎様
国際オタクイベント協会代表:佐藤一毅様
<モデレーター>
日本経済大学 大学院経営学研究科准教授:中村仁様
・参加者:101名
●「世界オタク研究所講演会#1~オタク文化の拡大と国際研究機関への期待~」
・開催日:8月10日(金)
・開催場所:TFTビル東館9A会議室
・内容/登壇者:
講演①「2.5次元文化のファンダム-2.5次元文化を中心に-」
横浜国立大学 都市イノベーション研究院教授:須川亜紀子様
講演②「アニメ舞台探訪(聖地巡礼)の端緒をつかむ
富山県立大学 教養教育 准教授:大石玄様
トークディカッション
<トークゲスト>
明治大学国際日本学部准教授:森川嘉一郎様
コミックマーケット準備会共同代表:市川孝一様
「SMASH!」代表:アンドリュー・キウ様
<モデレーター>
日本経済大学 大学院経営学研究科准教授:中村仁様
・参加者:66名
●「ABPF×CiP YouGoEXアニメカンファレンス produced by 世界オタク研究所」
・開催日:8月21日(火)
・開催場所:都立芝商業高校視聴覚教室(「YouGoEX」E会場)
・内容/登壇者
カンファレンス①
「世界から見た日本アニメの潮流とKickstarterではじめて成功した日本アニメ『Under The Dog』
<トークゲスト>
ゲームデザイナー/原作・脚本家:イシイジロウ様
プロデューサー/株式会社コントラ代表取締役社長:片岡義朗様
<モデレーター>
ジャーナリスト、アニメーションビジネスジャーナル主催:数土直志様
カンファレンス②
「世界にチャレンジする日本のデジタルアニメーション」
<トークゲスト>
ポリゴン・ピクチュアズ株式会社代表取締役社長:塩田周三様
神風動画代表取締役社長:水崎淳平様
<モデレーター>
東京工科大学メディア学部教授:三上浩司様
・参加者:カンファレンス①:67名
カンファレンス②:74名
●「世界オタク研究所講演会#2~ファンダムへの注目とその背景~」
・開催日時:2018年11月13日(火)18時30分~20時
・開催場所:慶應義塾大学三田キャンパス東館ホール
・目的:
ソーシャルメディアで「ファン」連携が容易化され、その活動の範囲や内容の充実=「ファンダム」化が進行。これに対する学術・経営からの視点をまとめる日陰モノとしてのオタクではなく、社会とかかわる重要な要素としての「ファン」としての現状を理解し、その視点に共感する人々をつなげるきっかけとする
・登壇者
講演①「ファンダム・レボリューション」出版とその背景
一ノ瀬翔太氏(早川書房第一編集部ノンフィクション課「ファンダム・レボリューション」編集担当)
講演②「ファンダムへの注目-ビジネスサイドからのアプローチ
渡辺徹也氏(電通 ビジネスプロデュース局シニア。コンテンツ・マネージャー)
講演③「ファンダムとオタク-アカデミックにおける接近」
森祐治氏:電通コンサルティング代表取締役社長/亜細亜大学都市創造学部 特任教授)
パネルトーク
(モデレーター:森氏と、一ノ瀬氏、渡辺氏)
・参加者:45名
<参加者の反応>
・アンケート回収率
7月24日イベント⇒65.3%、8月10日講演会⇒65.2%、8月21日①⇒46.3%、8月21日②⇒37.8%で、11月13日講演会#2=64.4%と、通常のCiP協議会主催イベントに比較して極めて高く、関心、期待の高さがうかがえる。
・参加者の属性①回答者の年代
有効回答数 | 20代 | 30代 | 40代 | 50代以上 | |
7/24 | 65 | 14(21.5) | 17(26.2) | 15(23.1) | 19(29.2) |
8/10 | 43 | 10(23.3) | 12(27.9) | 9(20.9) | 12(23.3) |
8/21① | 31 | 3(9.7) | 7(22.9) | 8(25.8) | 13(41.9) |
8/21② | 27 | 3(11.1) | 7(25.9) | 7(25.9) | 10(37.0) |
11/13 | 29 | 3(10.3) | 6(20.7) | 10(34.5) | 10(34.5) |
*単位=人(%)
回答者は各年代に分散するが、若年層がやや低く、特にビジネス系のテーマの回に関しては40代以上が6~7割を占める。
・参加者の属性②回答者の職業
アンケート回答者中、最も多い職種はコンテンツ産業関係者で、7月24日イベント⇒36.4%、8月10日講演会⇒23.3%、8月21日①⇒64.5%、8月21日②⇒64.3%、11月13日⇒58.6%。
研究者+院生/学部生は、7月24日イベント⇒15.1%、8月10日講演会⇒39.6%、8月21日①⇒12.9%、8月21日②⇒7.1%、11月13日=13.8%。
・CiP協議会の認知度
CiP協議会の活動を認知している回答者は、23.3%(8月10日)~46.4%(8月21日②)で、半分以上の回答者がCiP協議会を全く認知していないか名前を聞いたことがある程度の認知で、通常のCiP主催イベントとは異なる層が来場している。
・「世界オタク研究所」への期待
「世界オタク研究所」に期待する機能について選択肢を設け、複数回答可の条件で訊いた。
期待する機能 | 7/24 | 8/10 | 8/21① | 8/21② | 11/13 |
国内外の研究者による講演会、シンポジウムの開催 | 53.0 | 60.5 | 58.0 | 64.3 | 69.0 |
日本コンテンツに関する海外マーケット調査 | 50.0 | 27.9 | 45.2 | 39.3 | 51.7 |
オタク文化関連研究者のコミュニティ作り | 40.9 | 41.9 | 32.3 | 32.1 | 41.4 |
日本コンテンツの海外への紹介 | 40.9 | 27.9 | 41.9 | 28.6 | 31.0 |
オタク文化に関する国際的な学会の開催 | 39.4 | 39.5 | 22.9 | 14.3 | 44.8 |
コンテンツ産業研究者のコミュニティ作り | 31.8 | 30.2 | 32.3 | 25.0 | 37.9 |
国内外のコンテンツ関連イベントでのカンファレンスのプロデュース | 24.2 | 20.9 | 32.3 | 25.0 | 17.2 |
研究会の運営 | 22.7 | 23.3 | 19.4 | 17.9 | 27.6 |
学会の形成 | 19.7 | 14.0 | 6.5 | 7.1 | 24.1 |
会員制の組織化 | 13.6 | 16.3 | 12.9 | 7.1 | 7.0 |
会報の定期的発行 | 13.6 | 7.0 | 19.4 | 7.1 | 7.0 |
*単位=%
各回のテーマにより、参加者の属性が異なるために傾向に違いが見られるが、講演会やシンポジウム、カンファレンスの開催やコミュニティ形成に関する期待が高い。しかし一方で学会、研究会、会員制組織、会報といった形式に対する期待値は低く、従来の形式にとらわれないコミュニティへの期待がうかがえる。
・イベント等で取り上げてほしいテーマ
カンファレンス等のイベントで取り上げてほしいテーマについて選択肢を設け、複数回答可の条件で訊いた。
テーマ | 7/24 | 8/10 | 8/21① | 8/21② | 11/13 |
オタク文化 | 34.8 | 51.2 | 35.5 | 35.7 | 51.7 |
海外のオタクイベント | 37.9 | 41.9 | 29.0 | 25.0 | 44.8 |
マンガ | 19.7 | 20.9 | 22.9 | 35.7 | 34.5 |
アニメ | 27.3 | 18.6 | 45.2 | 64.3 | 37.9 |
ゲーム | 19.7 | 9.3 | 22.9 | 39.3 | 20.7 |
コスプレ | 22.7 | 18.6 | 9.7 | 14.3 | 13.8 |
2.5次元ミュージカル | 19.7 | 14.0 | 29.0 | 25.0 | 17.2 |
eスポーツ | 24.2 | 18.6 | 25.8 | 25.0 | 20.7 |
コンテンツとテクノロジー | 33.3 | 32.6 | 38.7 | 32.1 | 37.9 |
聖地巡礼 | 25.8 | 34.9 | 19.4 | 17.9 | 34.5 |
アニソン | 27.3 | 14,0 | 19.4 | 25.0 | 17.2 |
アニメ産業 | 47.0 | 32.6 | 58.1 | 53.5 | 37.9 |
マンガ産業 | 28.8 | 27.9 | 22.9 | 21.4 | 24.1 |
ゲーム産業 | 30.3 | 23.2 | 32.3 | 39.3 | 17.2 |
*単位=%
「オタク文化」や「海外イベントの紹介」を求める数字は総じて高い。アニメ、マンガ、ゲームに関しては、産業も含めアニメへの関心が最も高く、ゲーム、マンガと続く。
さらに「コンテンツとテクノロジー」への関心が全ての回を通じて高く、新たなコンテンツ表現や制作方法に対する関心の高さがうかがえる。
・イベントの満足度
当日のイベントへの満足度を「満足」、「やや満足」、「どちらでもない」、「やや不満」、「不満」の5段階の回答で訊いた。「満足」+「やや満足」は、7/24=80.6%、8/10=85.4%、8/21①=96.3%、8/21②=100.0%、11/13=88.0%と全体では80%以上の回答者が内容に満足していると考えられる。
・参加意向
次回以後の開催への参加意向を「参加したい」、「やや参加したい」、「あまり参加したくない」、「参加したくない」の4段階の回答で訊いた。「参加したい」+「やや参加したい」は、5回の開催を通じて100.0%であり、全体の62.8%が「参加したい」と回答した。参加意向は極めて高いと考えられる。
<今後の活動>
カンファレンスの開催を継続しつつ、研究者、産業界関係者の意見を取り込んで、活動、組織構築の方向性を検討する。
●2019年
・参加者アンケートの内容を考慮しつつ、会にコミットする研究者、産業界関係者の関心が高いテーマ等から検討し、国際イベントを含んで年5回程度のカンファレンスイベン ト等を開催する。